弦のホイールと接する部分には緩衝材として綿を巻きつけ松脂で固着させます。綿の量や均一性によっておどろくほど音と弾きやすさが変わります。
ここの紹介どおり私はTexere Yarnsで入手しましたが、現在はなくなっているようです。これが似た感じかもしれません。
巻きつけ方としては、綿を平たくして弦をくるんでからホイールで圧着させる方法と、細長い綿をホイールと弦の間に差し込み斜めに巻き込んでいく方法とが確認されています。私は後者よりです。
鍵盤でメロディ弦を押さえることによって音の高さを変えて演奏します。押し上げることにより弦に触れ、指を離すと自重でもとに戻ります。
ダイアトニックの楽器もありますが、Vielleはクロマティック鍵盤で音域は2オクターブ前後です。最近のものにはもっと音域が拡大しているものもあるかもしれません。私は1オクターブ半くらいしか使っていません。
半音刻みの鍵盤が2段をなして付いています。調弦によって音名は変わりますが、開放弦をソとすると、下の段がソラシドレミファソ…という音階になり(いわゆる白鍵の役割)、上の段がそれ以外の音(黒鍵に相当)となります。
ここの図がわかりやすい。キーボックスを後ろ(鍵盤と反対側)から見た図となります。
Hurdy Gurdy Tunings
ホイールが擦って音を出す弦には大別して3種類があります。各弦は、ホイールに接する/しないを切り替えられるようになっています。常にすべての弦が演奏されるわけではなく、調や曲想により使用する弦の組み合わせを選択できます。
・メロディ弦 chanterelle
鍵盤が付いており旋律を奏でる主要な弦です。2本をユニゾンもしくはオクターブに調弦して同時に弾くことが多いです。モダンな機種ですと、弦の数が増えて調によって切り替えたりします。
・ドローン弦 mouche/ bourdon
鍵盤が付いておらず一定の持続音を出し続けます。bourdonは低音、moucheは中音域を担当しますが、moucheを使用しないスタイルも多いようです。
・トロンペット trompette
ドローン弦の一種ですが、うなり駒(Chien)が付いており特徴的なリズム音を出すことができます。
その他に、金属製の共鳴弦が付属している機種もあります。
テーパのかかった大きな木ペグのものが古くからの形状ですが、歯車式のメカニカルヘッドを使った楽器も多く見られます。弦の数により配置はまちまちです。
ハンドルを右手でつかみ、前方向に回転させることでホイールを回して音を出します。楽器の種類によっては固定されているものもありますが、Vielleの場合はネジ式で容易に着脱できます。
手持ちの2台では製作家は異なりますがネジのサイズは合っており交換可能でした。ハンドルだけ販売しているのも見かけましたので、互換性をもったサイズである程度は流通していそうです。ただ、製作家によってはネジ規格が異なったりして合わない場合もあるようです。
把手の大きさや形状、クランクの長さによって弾きやすさに影響があるので、取り替えてみるのも面白いかもしれません。
残響音を得るためにボディ上に数本の金属弦が張ってある機種があります。直接は演奏しません。(特殊効果としてかき鳴らしたりすることはあります)
私は共鳴弦付きの楽器を使用したことがないため、具体的なことはあまり知りません。